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公金・預かり金の着服は金額で処分が変わるのか|当サイト掲載5事案と懲戒処分の指針を比較

高さの違う硬貨の山が並ぶイメージ 比較・解説
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当サイトではこれまで、公務員が職場で預かったお金を着服したとされる事案を3件取り上げてきた。金額は24万円から202万円まで開きがあるが、処分はいずれも懲戒免職だった。

本記事では、この3件に公金以外の金銭不正で懲戒免職となった参考事案2件を加えて比較表にまとめ、人事院や教育委員会が公表している懲戒処分の指針と照らし合わせる。金額で処分は変わるのか、どこで扱いが分かれたのかを整理したい。

結論:着服した金額によって処分は変わるのか

紙幣を数える手元のイメージ

当サイトで取り上げた範囲では、金額による処分の差は見られなかった。24万円、126万円、202万円の3件はいずれも懲戒免職で、参考事案の2件も同じく懲戒免職だった。

これは、人事院の指針が公金の横領を金額の区別なく免職の標準例としていることと一致する。千葉県教育委員会の指針も、学校徴収金や関係団体の財産を横領の対象に含め、免職としている。

一方で、刑事手続きの進み方や、監督者の処分が公表されたかどうかは事案ごとに違っていた。ただし比べられたのは5件にとどまり、これだけで全国の傾向とまでは言えない。

当サイトで取り上げた5件の比較

表の上3件が職場で預かったお金の着服、下2件が参考として載せた公金以外の金銭不正の事案である。数字や手続きの状況は、いずれも各記事の執筆時点のものだ。

事案組織の種類着服などの対象金額期間懲戒処分刑事手続き監督者の処分
福山市・支所の50代職員市区町村職員市が事務局を務める地区協議会の口座(団体の預かり金)24万円2024年5月30日懲戒免職(2024年10月3日)被害届の提出を検討中上司の課長が戒告
富士宮市立小学校の40代事務職員教育関係者給食費などの学校徴収金126万4490円2024年3月29日〜8月懲戒免職(2024年9月)被害届は検討段階。逮捕・送検なし記事時点で未公表
松戸市立中学校の30代教諭教育関係者保護者から集めた教材費(学校徴収金)202万6500円2025年8月〜2026年3月懲戒免職(2026年9月2日)記事時点で未公表記事時点で未公表
(参考)大阪市税事務所の50代職員市区町村職員住民税の還付金(税情報を不正に操作)9万9000円(報道による)2023年6月〜2026年4月懲戒免職(2026年8月24日)記事時点で未公表記事時点で未公表
(参考)国税局の20代職員国家公務員税務調査を担当した相手から受け取った現金(公金ではない)約1億5000万円2022年11月〜2026年1月懲戒免職(2026年8月7日)所得税法違反(脱税)の疑いで地検に告発記事時点で未公表
※金額・手続きの状況は各記事の執筆時点。刑事手続き・監督者の処分の「記事時点で未公表」は、記事の範囲で報じられていないことを示す

共通していた点

中心の3件には、お金を一人の担当者が扱い、ほかの職員の目が届きにくい状態になっていたという共通点がある。福山市の事案では、キャッシュカードを入れた手提げ金庫は課長の許可を得て使う決まりだったが、実際には自由に使える状態だったという。

富士宮市の事案では、本人が「自分が担当する」と申し出て、会計事務にほかの職員が関わらない状況を作っていたとされる。松戸市の事案も、技術科の教材費として集めたお金の口座から教諭が複数回にわたり現金を引き出していた。

発覚のきっかけも似ている。いずれも内部の点検ではなく、残高を確かめた別の職員、給食費の未納に気づいた給食センター、未払いを知らせてきた業者からの連絡で不正が明らかになった。

お金の使い道は、3件とも生活費やローンの返済などとされている。松戸市の事案では、ゲームの課金に充てたとも説明しているという。

処分や手続きが分かれた点

懲戒処分はそろっていたが、刑事手続きの扱いは分かれた。福山市と富士宮市の2件は、記事執筆時点で被害届の提出が検討段階にとどまり、逮捕や送検には至っていなかった。松戸市と大阪市の事案も、刑事事件として扱われるかどうかは明らかになっていない。

5件のうち刑事手続きが進んでいたのは、参考事案の国税局職員だけだ。こちらは受け取った現金そのものではなく、競艇の払戻金を申告しなかった所得税法違反の疑いで、国税当局が地検に告発している。

監督者の処分が記事で確認できたのは福山市の1件のみで、金庫の管理について監督責任があったとして、上司の課長が戒告となった。ほかの4件では、記事執筆時点で監督者の処分は報じられていない。

返済の状況にも違いがある。福山市と富士宮市の2件は全額が返済されていたが、それでも懲戒免職となった。松戸市の事案は、記事の範囲では返済の有無が分からない。

公的な基準と照らし合わせる

電卓と会計書類のイメージ

国家公務員の基準(人事院の懲戒処分の指針)

人事院は「懲戒処分の指針について」で、国家公務員の非違行為ごとに標準的な処分の重さを示している(最終改正は2020年4月1日)。公金や官物を扱う場面での不正は、横領・窃取・詐取のいずれも免職が標準例とされている。

同じ項目のなかでも、自分が保管している公金を一時的に流用するといった不適正な処理は、減給または戒告とされ、横領とは区別されている。また、部下が懲戒処分を受け、上司の指導監督が適正でなかった場合は、上司を減給または戒告とする例が示されている。

懲戒処分の指針とは?

人事院が国家公務員向けに示した、非違行為ごとの処分の目安。公金や官物の横領・窃取・詐取は免職が標準例とされる。動機や結果、職責、過去の処分歴などを踏まえ、標準例より重くも軽くもなりうる。

地方公務員・教職員の場合

この指針は国家公務員を対象としたもので、地方公務員や公立学校の教職員は、それぞれの自治体や教育委員会の基準で処分される。中心の3件はいずれも地方公務員の事案のため、人事院の指針とは目安として比べている。

千葉県教育委員会が公表している懲戒処分の指針は、横領の対象となる公金や公物に、学校徴収金などの会計の財産と関係団体の財産を含めると明記し、免職としている。保護者から集めた教材費の着服は、この基準の免職の類型に当てはまる行為といえる。

福山市の事案は、厳密には市の公金ではなく、市が事務局を務める地区協議会の口座からの着服だった。福山市や富士宮市の独自の指針は今回の確認では公式サイト上で見つけられなかったが、千葉県教委のように団体の預かり金も公金と同じく扱う考え方に立てば、免職という判断は基準の範囲内とみることもできる。

照
照

標準例はあくまで目安なんだ。人事院の指針でも、動機や結果がとても悪質なら重く、発覚前に自分から申し出たり特に酌むべき事情があったりすれば軽くできるとされているよ。今回は金額に大きな幅があっても全部免職だったから、預かったお金に手を付けたこと自体が重く見られたと考えられるね。

よくある疑問

罫線ノートと万年筆のイメージ

Q. 全額を返せば処分は軽くなる?

当サイトで取り上げた範囲では、返済によって免職を免れた例はなかった。福山市と富士宮市の事案は、どちらも全額が返済されたうえで懲戒免職となっている。

人事院の指針は、処分を決める際に非違行為の後の対応も含めて総合的に判断するとしている。ただ、標準例より軽くできる場合として挙げているのは、発覚前に自ら申し出たときと、特に酌量すべき事情があるときだ。発覚後に返済しただけで軽くなるとは限らないとみられる。

Q. 上司も処分される?

監督責任を問われることはある。人事院の指針では、部下が懲戒処分を受け、管理監督者としての指導監督が適正でなかった場合は減給または戒告とされている。千葉県教委の指針では、停職・減給・戒告とさらに幅が広い。

実際に福山市の事案では、金庫の管理体制について監督責任があったとして、上司の課長が戒告となった。ほかの4件では、記事執筆時点で監督者の処分は報じられていない。

Q. 懲戒免職になれば刑事責任も問われる?

懲戒処分は任命権者が科す行政上の処分で、刑事責任を問うかどうかは別の手続きになる。業務上横領などにあたるかどうかは、被害届の提出や捜査を経て判断される。

比べた5件のうち、記事執筆時点で刑事手続きが進んでいたのは、告発された国税局職員の1件だけだった。懲戒免職になったことが、そのまま刑事罰を意味するわけではない点には注意が必要だ。

こうむくん
こうむくん

3件とも、お金を一人で抱えていて、外から連絡が来て初めて気づいたという流れだったよね。金額の大小より、誰も残高を確かめていない期間が長かったことのほうが問題だと思う。

こうむちゃん
こうむちゃん

免職になっても、お金を預けた保護者や地域の人の信頼はすぐには戻らないよね。口座の残高を複数の人で定期的に確かめるくらいの仕組みは、どの職場でも当たり前にして欲しいね。

まとめ

当サイトで取り上げた公金・預かり金の着服3件は、24万円から202万円まで金額に開きがありながら、いずれも懲戒免職だった。参考の2件を含めても金額で懲戒処分の種類が変わった例は見当たらず、人事院や千葉県教委の指針が横領を免職としていることとも合っている。

差が出たのは刑事手続きの進み方と監督者の処分が公表されたかどうかで、全額返済は免職を避ける理由になっていなかった。比べられたのは5件にすぎないが、金額よりも「預かったお金に一人で手を付けられる状態」が共通していたことは見過ごせない。同種の事案が加わるたびにこの表を更新し、処分の線引きがどこにあるのかを確かめていく。

出典・参考資料

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