岐阜県警大垣署の警察官が、風力発電施設の建設に反対する住民の個人情報を事業者に提供。名古屋高裁がこの行為を違法と認定し、県に損害賠償の支払いを命じたことが明らかになった。
刑事事件としての立件ではなく国家賠償請求訴訟という形で警察の情報収集活動の是非が問われた事案であり、公安警察の活動実態を映す事例として注目されている。
事件の概要

経緯
大垣署警備課の警察官3人は2013~2014年にかけて、岐阜県内で計画されていた風力発電施設の建設に反対する住民4人の氏名や病歴、過去の市民運動への関与などの個人情報を収集した。
収集した情報は、施設の建設を計画していた中部電力子会社「シーテック」(名古屋市)に対して計4回にわたり伝えられ、シーテック側がその内容を議事録として記録していたとされる。
処分と送検の状況
住民らは2016年、プライバシーなどを侵害されたとして岐阜県を提訴。2022年2月の一審・岐阜地裁判決は情報提供を違法と認めた一方、情報収集そのものについては違法性を否定した。
2024年9月13日、控訴審の名古屋高裁は情報収集・提供のいずれも違法と認定。県に対して情報の一部抹消と計440万円の支払いを命じた。
なお、民事訴訟であるため、警察官個人が逮捕・送検された事実はない。岐阜県警監察課は判決を受け「内容を検討した上で、今後の対応を決める」とコメントしている。
どのような罪に問われる可能性があるか

警察法(不偏不党の原則)
警察の活動は、特定の政治的立場や利害関係者に偏ることなく行われる必要がある。
警察法
(不偏不党の原則)とは?
警察法は、警察の組織や責務を定めた法律で、第2条2項は警察の活動が個人の権利・自由の干渉にわたるべきではなく、不偏不党かつ公平中正に行われるべきことを定めている。刑罰を伴う規定ではないが、警察活動の正当性そのものを支える重要な条文とされる。
本件では、反対運動をする住民の個人情報を、施設建設を計画する事業者側に提供していた点が、警察の中立性を損なう行為として問題視された。
個人情報保護法・国家賠償法
行政機関が保有する個人情報をみだりに第三者へ提供する行為は、個人情報保護法上の問題にも発展しうる。
行政機関等個人情報保護法
国家賠償法とは?
行政機関が保有する個人情報は、法律上の根拠なく目的外に利用・提供することが原則として禁じられている。また、公務員の違法な職務行為によって個人に損害が生じた場合、国家賠償法に基づき国や地方公共団体が賠償責任を負う。

今回はあくまで国家賠償請求という民事訴訟の中で違法性が認定された事案で、警察官個人が刑事罰を科されたわけではないんだ。ただ、情報の収集・提供という行為自体が裁判所によって違法と断定された点は、今後の警察の情報収集活動のあり方に影響を与える可能性があるよ。
ネットの声


反対運動をしていただけの住民の情報を、なぜ業者にまで渡していたのか理解に苦しみます。

内容を聞くと、逮捕されてもおかしくないような行為だったのではと感じます。

警察が集めた情報を民間の業者に引き渡していたというのは、さすがに行き過ぎだと思います。

今回は一人の警察官の暴走というより、公安警察の情報収集のあり方そのものが問われた事案だと思う。どのような場合に情報を集めてよいのか、法律上の根拠が乏しいまま活動が行われてきた側面も判決で指摘されているよね。

住民からすれば、自分の情報がいつの間にか業者に渡っていたなんて怖い話だと思う。県には情報の扱い方をきちんと見直して、再発防止の対応を示してほしいね。
まとめ
岐阜県警大垣署の警察官が、風力発電施設の建設に反対する住民の個人情報を事業者に提供していた問題で、名古屋高裁は2024年9月、情報収集・提供のいずれも違法と認定し、県に440万円の賠償と情報の一部抹消を命じた。刑事事件としての立件はされておらず、今後は岐阜県警がどのような対応を示すかが焦点となる。
今回の判決は、一人の警察官の逸脱行為というより、公安警察による情報収集活動全体のあり方に一石を投じるものといえる。どのような場合にどのような情報を収集・保有してよいのか、法律上の根拠を明確にすることも今後の課題として指摘されており、警察の情報管理のあり方を継続して注視していきたい。





